「風を破る」と書いて破風(はふ)と読みます。
外壁や屋根のメンテナンスの際には、この破風の存在も重要なポイントです。
「破風って何?どんな役割があるの?」
「破風の痛みを放置していると、何かデメリットはあるの?」
はじめて聞かれる”破風(はふ)”という言葉に、色々な疑問が出てこられると思います。
そんな皆さまの疑問やご不安を解消できるよう、このページでは以下の内容をご紹介します。
・破風の基礎知識
・破風の劣化によるデメリット
・破風のメンテナンス方法
・破風と火災保険の関係
一般の方が中々知らない”破風”について詳しく知ることで、メンテナンス業者や塗装会社とのやり取りもスムーズに。
少なくとも”何も知らないお客様”をターゲットに絞っている悪徳業者の対策にはなるでしょう。
ご自宅の破風にとって最適な補修方法を知り、しっかりと補修時期かどうかも見極めましょう!
破風(はふ)とは何か?
破風の場所
破風とは簡単に説明すると、切妻屋根(本を開いて逆さまにしたようなシンプルな屋根)の逆Vの形になっている端の部分です。
屋根の”∧”の箇所が破風です。屋根に合掌形に取り付けられている板、あるいはその部分を指します。
破風の歴史
破風の歴史は深く、遡ると平安時代以降に現れたと言われています。
一番ポピュラーなものでしたら、城郭建築が盛んな安土桃山時代に建てれた天守の破風ですね。
多種多様な破風のデザインを組み合わせて作り出される、絢爛豪華な城郭建築。
華美な装飾も施されて、建物の顔と言っても過言ではない場所なのです。
破風の3つの役割
地上から見上げた時に、パっと目を引く破風。建物の顔と言われるのも、頷けますね。
では破風は美観だけのために存在しているのか?破風の役割を大きく3つに分けてご紹介していきますね。
防風
破風は「風を破る」という文字どおり、風が家に悪い影響を与えないようにする目的があります。
屋根は吹き上げの風に弱い
基本的な屋根のお話になりますが、屋根は風に強いです。
しかしそれは上からの風庄、つまり吹き下ろしてくる風に限ります。
逆に、下から吹き上げる風には構造上どうしても弱くなってしまうのです。
屋根は吹き下ろしの風なら、その圧を柱や間柱で支えることはできます。しかし、吹き上げの風だと屋根と柱を繋ぐ固定力のみが頼りなので、どうしても吹き上げの風に対しては弱くなるのです。
吹き上げの風を分散させる破風の存在
破風板を屋根の先端に取り付けることで、吹き上げの風を分散させることができます。
破風の存在は家の防風に欠かせないのです。
防水
破風は雨水の侵入を防いでくれる、防水性の面でも欠かせない存在です。
と言うのも、暴風雨などの横殴りの雨の場合、屋根と外壁の結合部に雨水が入り込み雨漏りの原因となるリスクがあります。
そんな困った事態を守ってくれる存在、それが破風です。
横に入る雨も、この破風が盾のようになってくれるので、雨水の侵入を食い止めてくれるのです。
防火
火災などの最悪のケースも想定されて、破風は取り付けられています。
どの家でも可能性がゼロではない火事。特に屋根裏は防火材が使われていないことが多く、一度火が回ると一気に延焼しやすいです。
破風板があることで火の粉の舞い込みを抑え、屋根裏への延焼を最小限に食い止めてくれるのです。
破風の劣化原因
大切な役割がある破風。
「ふむふむ、破風って見た目だけが目的じゃないんだな」
そうなんです。一見何のためにあるのか分からない破風ですが、実は家を守ってくれる大切な存在なのです。
そんな破風ですが、やはり形あるものなので傷んでしまいます。
破風が傷んでしまう原因、皆さま心あたりはありませんか?破風の劣化原因についてご紹介していきますね。
経年劣化
破風板の耐久性は約20年。
しかしその間、紫外線や雨の影響で確実に劣化が進んでいきます。
特に南向側にある破風は、日に当たりやすいことから痛みやすい傾向にあります。
木造の破風板なら、紫外線による塗膜の剝がれ。金属製の破風板なら雨によるサビが劣化症状の1つです。
強風
破風板は風から家を守る盾のような役割があることから、強風の影響も受けやすいです。
風を受けることで破風自体の風化を早め、最悪強風で破損してしまうというケースもあります。
積雪
屋根に積もった積雪が落下の際に破風を傷つけてしまう場合もあります。
雪やつららが破風にくっついたままでいると、破風がずっと水分を含んだ状態になるので腐食の原因にもなります。
破風の劣化放置によるデメリット
破風の劣化放置は結論から言いますと、破風の劣化放置は良いことなし、補修費用も嵩むのでコスパも良くありません。
「遠目で見るからハッキリわからないけど、何だか表面が捲れているかも…?」
家を見上げてみて、そんな印象を持たれた方は注意が必要かもしれません。
破風の劣化をそのままにしておくと起きるデメリットについて、詳しく解説していきますね。
雨漏り
破風の役割の1つは、「雨の侵入を防ぐ」こと。
しかし、破風が劣化して防水性がなくなっていると、残念ながら満足に雨水を防ぐことが難しくなるでしょう。
つまり、屋根裏への雨漏りのリスクが高くなります。屋根裏に雨漏りが発生すると、木材が腐食してしまうといった事態も想定されます。
破風板の落下
劣化が激しい破風板を放置すると、台風などの強風をきっかけに落下してしまうケースもあります。
特に破風板の材質が木材の場合、腐食により落下しやすい傾向があります。
補修費用が嵩む
「破風板が傷む」ということは家の中に雨水が侵入しやすくなるので、屋根や外壁基礎の腐食のリスクが高まります。
木材の腐食が進むと基礎の取り替え工事も必要なので、結果として補修費用が嵩みます。
本来なら破風板の補修費用だけで済んだはずが、劣化を放置することによって思いもよらない出費になる場合もあるのです。
破風の補修方法
前項でもお伝えしたように、破風の劣化放置は良いことなし、費用も嵩みます。
逆に考えると、劣化を放置しなければ、先ほどご紹介したデメリットを防げる可能性はグンとUPします。
劣化放置のデメリットを防ぐためには、どんな補修方法があるのか?についてご紹介していきます。
破風板の塗装
破風板の塗膜の剝がれがあまり目立たない場合、破風板をコーティングするかのように塗装します。新築時から約10年ほどが塗装目安です。
塗装により、美観UPだけでなく破風板そのものの防水性も良くなります。
関連ページ:破風板の塗装の事例
金属板金巻き
破風板の塗膜の剥がれが目立つ場合、再塗装をしても塗膜が捲れてくる可能性が高いです。
そこで、ガルバリウム鋼板という金属製の板で既存の破風板を覆います。元々の破風板が木材の場合はガルバリウム鋼板を巻くことで、防水性に加え防火性も良くなります。
破風の部分交換or全交換
破風板自体の腐食が損傷が見られる場合、破風板の交換を行います。
交換する破風板の材質は窯業系ボードが一般的です。
関連ページ:破風板の交換の事例
破風板の補修は火災保険が適用される?
家を建てられた際に、ほとんどの方が加入する火災保険。
実はこの火災保険を上手に活用して、破風のメンテナンス費用を抑えれる可能性があります。
ご加入の契約内容にもよりますが、火災保険には「自然災害で傷んだ家の原状回復の補助」という特約が存在します。
「台風で破風板が剝がれた」
「雪の重さで破風板が壊れた」
などの、自然災害が原因で家に不具合が出た場合、火災保険が適用される可能性があるので、まずはご契約の保険会社へ確認してみましょう!
火災保険についての詳しい内容は下記ページでもご紹介
火災保険適用できるかは保険会社の判断
ここで火災保険に関する注意点があります。
それは”火災保険を悪用して施工を引き受けようとする業者の存在”です。
「うちの会社で契約をすれば、火災保険が適用されて補修費用が安くなる」
そういった内容に近い言葉、まるで火災保険をエサにしているような言い回しの業者には注意が必要です。
火災保険は「自然災害で受けた被害に対しての現状回復」が目的です。つまり家に住んでいる皆さまを守るための火災保険なのです。
火災保険が適用されるかの判断は保険会社にあり、施工会社にはないことをご理解いただければと思います。
関連ページ:失敗しない業者選びのコツ
【まとめ】破風の役割・重要性・劣化した場合のデメリット
- 破風は切妻屋根の端、逆V型になっている箇所のこと
- 役割は屋根が苦手とする横と下からの雨風を防ぎ、延焼からも守る盾のような存在
- 破風の劣化放置は雨漏りや破風板の落下、結果として補修費用が嵩みメリットなし
- 基本的な破風の補修方法は塗装による保護をして、防水性を高める
- 破風の塗膜剥がれが目立つと、塗装をしても剝がれてくるので板金を巻いて補修
- 破風自体の破損や腐食がある場合は、破風板の交換を実施
- 破風の補修は火災保険適用の可能性がありますが、まずはご加入の保険会社へ確認ください
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
南大阪ペイントセンターは外壁塗装・屋根塗装以外にも、破風の補修や交換も承っております。
破風だけでなく、お住まいに関することで疑問や分からないことがあれば、ご連絡おまちしています。
何でもお気軽ご相談をいただければ、うれしいです!