「外壁塗装の耐用年数はどれくらい?」
「耐用年数はどういった要素で決まる?」
といった疑問はありませんか。
外壁塗装の耐用年数は一般的に約10~20年とされています。
塗料の種類によって耐用年数が変わりますが、実は塗料以外にも耐用年数が変わる要素があります。
特に下塗り塗料と下地の相性が大切で、相性の悪い下塗り塗料を塗ってしまうと早期剥がれに繋がってしまうのです。
せっかく耐用年数を長く持たせたいと考えていても、下塗り塗料を塗る段階で長持ちしない外壁塗装が確約されてしまいます。
そこで当ページでは塗装職人監修のもと、あらゆる視点から耐用年数について調査した結果を紹介しています。
・外壁塗装の耐用年数
・耐用年数を決める5つの要素
・耐用年数を長くする4つ対策
耐用年数を決める要素を押さえることで、あなたのお住まいにとって一番長持ちする外壁塗装工事を選ぶことができるでしょう。
1.外壁塗装の耐用年数は約10~20年
一般的に外壁塗装の耐用年数は約10~20年とされています。
10~20年の幅がある理由は、耐用年数は様々な要素によって決まるため一概に何年とは言えないからです。
耐用年数を決める要素については次項で詳しく紹介いたします。
耐用年数はあくまで目安なので、次のような症状があらわれると耐用年数が過ぎている可能性が高いです。
写真
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症状
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緊急度
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外壁のひび割れ | ★★★★ | |
外壁塗膜の剥がれ・浮き・膨れ | ★★★☆ | |
コーキングの劣化 | ★★☆☆ | |
カビ・コケ・藻による変色 | ★☆☆☆ | |
チョーキング現象 | ★☆☆☆ |
2.外壁塗装の耐用年数を決める5つの要素
外壁塗装の耐用年数は一般的に仕上げ塗料の種類によって変わると言われていますが、実は様々な要素によって耐用年数が変わるのです。
以下に外壁塗装の耐用年数を決める5つの要素を影響度別にまとめました。
- 仕上げ塗料の種類【影響度★★★】
- 下塗り塗料と下地の相性【影響度★★★】
- 立地【影響度★★★】
- 下地の劣化状態【影響度★★☆】
- コーキングの種類【影響度★☆☆】
2-1.仕上げ塗料の種類【影響度★★★】
外壁塗装の耐用年数は仕上げ塗料の種類によって大きく影響します。
一般的「塗料の種類によって耐用年数が変わる」と言われているのは、この仕上げ塗料のことです。
外壁塗装は下塗り塗料を塗ったあとに、仕上げ塗料で中塗りと上塗りを行う3回塗りが基本です。
中塗りと上塗りの仕上げ塗料の種類によって、耐用年数が異なるのです。
塗料の種類 | 耐用年数 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 7~12年 |
ラジカル塗料 | 12~15年 |
フッ素塗料 | 15~20年 |
無機塗料 |
15~25年
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2-2.下塗り塗料と下地の相性【影響度★★★】
下地である外壁材に対応している下塗り塗料を使用しないと、耐用年数を長持ちさせる以前に早期剥がれの原因となります。
適切な下塗り塗料を使用しないと、10年以上も耐用年数に差が出るでしょう。
上の写真はセラミック塗料仕上げの外壁です。
触れるとポロポロと砂状の塗膜が崩れてくるので、カチオンシーラーと呼ばれる下塗り塗料を染み込ませて下地をカチッと固める必要があります。
仮にカチオンシーラーを使用せずに塗装をしてしまうと、2~3年で塗膜の乖離が起きます。
たとえばセラミック塗料仕上げの外壁に、耐用年数が12~15年のラジカル塗料を使用したとします。
カチオンシーラーを使用する場合と使用しない場合では、以下のような耐用年数の差が起きるのです。
下塗り塗料の条件 | 耐用年数 |
カチオンシーラーありの場合 | 12~15年 |
カチオンシーラーなしの場合 | 2~3年 |
そのため、セラミック仕上げの下地の場合は以下の4工程で塗装を行います。
1.下塗り1回目(カチオンシーラー)
2.下塗り2回目(微弾性フィラー)
3.中塗り(仕上げ塗料)
4.上塗り(仕上げ塗料)
下塗りのカチオンシーラーだけでは色のムラが起きるため、2回目の下塗りに微弾性フィラーを塗ることで色ムラがなくひび割れに強い外壁へと導きます。
これまで相見積もりをした経験上、他の塗装会社ではセラミック仕上げの塗装に3工程での塗装しか提案されていないケースが多いです。
もしもセラミック仕上げの外壁にいきなり微弾性フィラーを塗装してしまうと、2~3年のうちにセラミックが崩れ落ちるように剝がれてしまいます。
基本的に南大阪ペイントセンターではセラミック仕上げの外壁へ塗装する下塗り塗料にはカチオンシーラーを提案させていただいています。
他にも下塗り塗料と下地の相性に注意すべき外壁は難付着サイディングです。
大手ハウスメーカーで使用されているケースが多く、その名のとおり、塗料の付着が難しいサイディングボードのことを指します。
表面に特殊なコーティングがされているので、難付着サイディングの外壁塗装には専用の下塗り塗料が必要です。
▼難付着サイディング対応の下塗り塗料の例▼
- 関西ペイント「RSマルチシーラー」
- 関西ペイント「アレスダイナミックシーラーマイルド」
- プレマテックス「無機有機ハイブリッドシーラーEPO」
もしも難付着サイディングに対応していない通常の下塗り塗料を使用して塗装をすると、そもそも難付着サイディングと下塗り塗料が密着しないので1年も経過しないうちに剥がれてしまいます。
仮に難付着サイディングの外壁に、耐用年数が12~15年のラジカル塗料を使用したとします。
難付着サイディング専用の下塗り塗料である「RSマルチシーラー」を使用する場合と使用しない場合では、以下のような耐用年数の差が起きるのです。
下塗り塗料の条件 | 耐用年数 |
RSマルチシーラーありの場合 | 12~15年 |
RSマルチシーラーなしの場合 | 1年未満 |
このように下塗り塗料の選定を誤ってしまうと、耐用年数以前の問題で1~3年といった非常に短期間で剝がれてしまうのです。
2-3.立地【影響度★★★】
外壁塗装は紫外線や雨によって劣化するので、日当たりが良いかなどの立地によって耐用年数は変わります。
紫外線の影響をよく受ける箇所は劣化が早く、影響を受けない箇所は耐用年数よりも長持ちする場合があります。
たとえばシリコン塗料が施された建物の場合、外壁の方角によっては約8年でチョーキング現象と呼ばれる塗膜の劣化症状が見られます。
南向きの日当たりの良い外壁は劣化が早いので耐用年数が短く、北向きの日陰は耐用年数より長くもつイメージです。
実際に弊社で点検させていただいた住宅でも、方角によってチョーキング出てるところと出てないところがありました。
そのため建物の立地は外壁塗装の耐用年数にかなり影響するでしょう。
2-4.下地の劣化状態【影響度★★☆】
下地の劣化状態によっても耐用年数は変わります。
なぜかというと下地の状態が悪いと、仕上げ塗料が長持ちしてくれないからです。
たとえば築10年目と築20年目の住宅に、同じ時期で同じ塗料といったすべて同条件で塗装をした場合、塗ってから10年後の外壁の状態が変わります。
下地が悪い状態で塗装をすると、耐用年数15年~20年のフッ素塗料を塗ったとしても築20年目の住宅の方が色褪せなどの劣化が起きるのが早いです。
一般的に10〜15年目までに塗装した方がいいと言われる理由は、下地の劣化状態によって耐用年数が変わる点もあるのです。
2-5.コーキングの種類【影響度★☆☆】
外壁が窯業系サイディングやALCの場合、使用するコーキング材の種類や工法によって耐用年数が変わります。
一般的にコーキング材の耐用年数は約10年とされていますが、中には約15年~20年の耐用年数を誇るコーキング材も存在します。
▼高耐久のコーキング材の例▼
- オートンサイディングシーラント
- オートンイクシード
又、コーキングの先打ちか後打ちかによっても耐用年数に影響し、先打ちの方が耐用年数が長い傾向にあります。
▼コーキングの先打ち▼
メリット | コーキングが塗膜に保護されるので、後打ちより長持ちする。 コーキングの耐久性は上塗り塗料の耐久性に依存するため、コーキング剤を耐久性より性能重視で選択出来る。 |
デメリット | コーキング上の塗膜が伸縮についていけず、塗膜が割れる場合がある(外壁下塗りに微弾性サーフ系塗布で軽減可)。 ただし塗膜が割れても雨漏りには繋がらない。 |
▼コーキングの後打ち▼
メリット | 塗膜が割れる心配がない |
デメリット | コーキング自体が日光等に直接さらされるため、先打ちに比べて耐久性が短くなる。 基本的には高耐久のコーキング剤必須となります。 |
それぞれのメリットデメリットを加味した上で、南大阪ペイントセンターではコーキング先打ちを実施するケースがほとんどです。
3.外壁塗装の耐用年数を長くする4つの対策
耐用年数を決める要素が分かれば、1つ1つの要素ごとに耐用年数を長くできる対策が打てるでしょう。
残念ながら耐用年数を決める要素の1つである「立地」に関しては、家を住み替える以外に対策はありません。
そこで、他の4つの耐用年数をきめる要素ごとの対策を紹介いたします。
耐用年数を長くする対策 |
耐用年数を決める関連する要素と影響度
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1.施工品質の高い優良業者へ依頼 | 【★★★】下塗り塗料と下地の相性 |
2.耐用年数の長い塗料の使用 | 【★★★】仕上げ塗料の種類 |
3.劣化を放置せず築10~20年には塗装工事を実施 | 【★★☆】下地の劣化状態 |
4.耐用年数の長いコーキング材を使用
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【★☆☆】コーキングの種類下地の劣化状態
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3-1.塗装実績の多い優良業者へ依頼
耐用年数を長くする上で特に大切なのが、塗装実績の多い優良業者へ依頼されることです。
施工実績の多さを確認する方法としては、業者のホームページに施工事例が豊富に掲載されているかを見ていただくと良いでしょう。
なぜかというと、塗装実績が多いという事実は、「多数のお客様に選ばれている業者」とも言えるからです。
多数のお客様から選ばれている業者はその分施工品質も高い傾向にあり、下地の種類によって正しい知識で塗料選定をしてくれる可能性が高くなるでしょう。
塗装業者に正しい知識がないと、2-2章でお伝えしたように誤った塗料を塗装することで早期剥がれの原因になります。
そのため、ホームページで施工実績の多さを調べていただき、優良業者かどうかを見極めていただくことが大切です。
3-2.耐用年数の長い仕上げ塗料を使用
耐用年数の長い仕上げ塗料を使用すれば、外壁塗装の耐用年数を延ばすことが可能です。
具体的な耐用年数の長い塗料は以下のとおりです。
- フッ素塗料(耐用年数15年~20年)
- 無機塗料(耐用年数15年~25年)
耐用年数が長ければ1㎡あたりの塗装単価も高くなり、外壁塗装費用も高額になる傾向にあります。
しかし耐用年数が長ければ、その分メンテナンスの頻度を少なくできるので結果的に見てコストパフォーマンスが良くなるケースが多いです。
どれだけ耐用年数の長い塗料を使用しても、2-2章の正しい下塗り塗料を選定できていなければ耐用年数どおりのモチは期待できません。
そのため正しい知識をもった優良業者へ依頼した上で、耐用年数の長い塗料を選ばれることが大切です。
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3-3.劣化を放置せず築10~15年には塗装工事を実施
築10~15年の間に初回の塗装工事を実施することで、結果的に耐用年数が長くなります。
理由は下地の劣化状態によっても耐用年数が変わるからです。
築20年の段階ではじめて塗装をされるよりは、築10~15年の段階で塗装をされた方が下地の状態が良いので塗料が長持ちしてくれます。
下地が悪い状態で塗装しても、耐用年数15年~20年のフッ素塗料を塗ったとしても築20年目の住宅の方が色褪せなどの劣化が起きるのが早いです。
世間一般的に「10〜15年までに塗装した方がいい」と言われるのは耐用年数が長くなることも要因なのです。
3-4.耐用年数の長いコーキング材を使用
外壁材の種類によっては、塗料の選定よりもコーキング材をどれだけ丁寧に施工するかで耐用年数が変わるケースがあります。
たとえば市場で最も多く使用される窯業系サイディングの場合、サイディングボード同士の継ぎ目にコーキングが施工されています。
仕上げ塗料にどれだけ耐用年数の長い塗料を塗ったとしても、経年劣化起きるコーキングのひび割れから雨水や湿気が入り込み外壁を傷めてしまいます。
そのため、耐用年数の長いコーキング材を使用されることも、耐用年数を長くする上での対策と言えるでしょう。
▼高耐久のコーキング材の例▼
・オートンサイディングシーラント
・オートンイクシード
4.まとめ
- 外壁塗装の耐用年数は約10~20年
- 外壁塗装の耐用年数を決める5つの要素
要素1.仕上げ塗料の種類【影響度★★★】
要素2.下塗り塗料と下地の相性【影響度★★★】
要素3.立地【影響度★★★】
要素4.下地の劣化状態【影響度★★☆】
要素5.コーキングの種類【影響度★☆☆】 - 外壁塗装の耐用年数を長くする4つの対策
対策1.塗装実績の多い優良業者へ依頼
対策2.耐用年数の長い仕上げ塗料を使用
対策3.劣化を放置せず築10~15年には塗装工事を実施
対策4.耐用年数の長いコーキング材を使用
耐用年数は一般的に仕上げ塗料の種類によって変わると言われています。
しかしそもそも下塗り塗料と下地の相性が良く無ければ、長持ち以前の問題で早期剥がれになります!
「耐用年数の長いフッ素塗料や無機塗料を使用しておけば安心」というわけでは決してありません。
少しでも外壁塗装でお住まいの寿命を長くするためには、あなたのお住まいの外壁に合った塗装を提案してくれる業者を選ばれることが最も大切でしょう。
南大阪ペイントセンターでは国家資格である一級塗装技能士の資格をもつ職人や元ハウスメーカーの職人が在籍しています。
お住まいにとって一番長持ちする外壁塗装工事のご提案をお約束いたします。
ご不安やご不明点があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談をいただけますと幸いです。