適切な大規模修繕の周期を見定めるためのアドバイス【塗装技能士監修】

適切な大規模修繕の周期を見定めるためのアドバイス【塗装技能士監修】

「大規模修繕の周期は何年がベスト?」
といった疑問でお困りではありませんか。

一般的には周期を12~15年と設定しているマンションが多いです。
国土交通省の平均修繕周期からも「全体の約7割が12~15年周期での実施」との明記があります。

なぜその周期なのか、周期を守らないとどのようなデメリットがあるのかが気になるところだと思います。
実際のところ周期を厳守するよりも、塗装会社に点検してもらい「いつ頃にどのようなメンテナンスが必要か」を正しく診断してもらうことが何よりも重要です。

そこで当ページでは以下の内容を解説しています。

こちらのページでわかること

・大規模改修の12年~15年周期が一般的な理由
・周期を守らないで起きるマンションのデメリット
・周期の重視よりも建物の状態の把握が大切

大規模修繕の周期について正しい知識を身につけることで、今後の修繕周期に不安のない毎日が過ごせるでしょう。

▼マンションの外壁塗装についてはこちらの記事で網羅的に解説▼
マンションの外壁塗装が初めてでも安心!4ステップでミスなく実行

マンション・アパートの相談を依頼する

1.マンションの大規模修繕の周期は12~15年周期が一般的

冒頭でもお伝えしたとおり、大規模修繕の周期は12~15年が一般的です。

マンション大規模修繕工事について実際に国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」からも、全体の約7割が12~15年周期で修繕工事をしているというデータがあります。

マンション大規模修繕工事の平均修繕周期としては、「13年」が最も多く、次いで「12年」「14年」「15年」と、全体の約7割が12~15年周期での実施となっている。

引用:<2>マンション大規模修繕工事について|令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省

弊社へご依頼いただく大規模修繕の周期は10~15年が多いので、より近い年数なのが窺えますね。

実際にはオーナー様によって依頼される周期にバラつきがあります。
国土交通省の周期を守っているオーナー様もいれば、築20年以上ではじめて依頼されるケースも少なくありません。

ただし周期を先延ばしにすることで、雨漏り被害や修繕費用が嵩むなどの弊害が生まれる可能性が高くなるので注意が必要です。

2.大規模改修の12年~15年周期が一般的な2つの理由

「国土交通省から発表があるとはいえ、なぜ12年~15年の周期が一般的なの?」
と気になられると思います。

12年~15年が一般的な周期である理由を塗装専門店の視点から解説しますと、以下の2つの理由が考えられます。

  1. 塗料や防水の耐用年数は約10年であることが多い
  2. 建築基準法により10年毎の調査が必要

2-1.塗料や防水の耐用年数は約10年であることが多い

塗料の耐用年数

 

マンション建築時に外壁や屋上に施工されている塗料の耐用年数は約10年前後であることが多いです。
施工面積も多いので基本的にシリコン(約7〜12年耐久年数)で塗装する方がほとんどです。

そのため10年を越えてくる頃には少しずつ劣化の兆候が出てくるのです。

築10年過ぎで見られる具体的な劣化症状は…

初期の劣化症状
写真
外壁のチョーキング現象 外壁のチョーキング現象
外壁の汚れ 外壁の汚れ
目地のコーキングのひび割れ 目地のコーキングのひび割れ

上記の症状は初期の劣化症状ですが、もっと年数が経過するとひび割れ塗膜の剥がれといった危険な症状が出てくるでしょう。

屋上がある場合は防水工事の種類にもよりますが、ウレタン防水の場合は耐用年数10年未満とされているので防水層の寿命が切れる時期です。
そのまま放置していると屋上から雨水が染み込み、お部屋の天井から雨漏りする事態も考えられます。

以上の内容からも、大規模修繕の周期が12年~15年が一般的とされる理由が分かると思います。

2-2.10年に一度定期報告制度における外壁のタイル等の調査が必要

定期報告制度における外壁のタイル等の調査が10年に一度必要です。

外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況の調査については、平成20年国土交通省告示第282号において、おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10 年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととされています。

引用:定期報告制度における外壁のタイル等の調査について|国土交通省

尚この制度は令和4年から一部改正がされ、打診以外の方法としてドローンなどを使用した赤外線調査が可能とされています。

しかしそれまでの打診調査は足場が必要なケースが多く、コスト削減のために打診調査で使用した足場をそのまま活用して改修工事を行う例が多かったようです。

以上の内容から、10年に一度の定期報告制度の存在も12~15年周期が一般的とされる要因だと推測されます。

3.周期を守らないで起きるマンションのデメリット

では12年~15年の周期を守らない場合、どのようなデメリットがあるかまとめてみました。

  1. 雨漏りによる入居者様への被害
  2. 劣化が進行することによる修繕費用の増額

3-1.雨漏りによる入居者様への被害

雨漏りの原因であるマンションの屋上

周期を守らず塗料や防水の耐久性が切れてしまうと、雨漏り被害へと繋がる可能性があります。

特にマンションの雨漏りの要因となるのは以下の2つのケースが多いでしょう。

・屋上の防水層の劣化放置による雨漏り
・外壁のひび割れからの雨漏り

実際に天井や壁のクロスに雨染みができて、オーナー様よりご連絡をいただくことが多いです。

もちろん周期を守っていても雨漏りする可能性はありますが、塗料や防水の耐久性が切れたままの方が格段と雨漏りのリスクが高まります。

入居者様へご迷惑をおかけしないためにも、定期的なメンテナンスで被害を最小限に抑えたいですね。

▼マンションの雨漏りについて詳しく解説しています▼
マンション雨漏りの責任は誰?発見から修理まで6ステップ完全ガイド

3-2.劣化が進行することによる修繕費用の増額

補修工事が必要になったが外壁

劣化の進行をそのままにすることで、本来しなくても良い追加工事が必要になり修繕費用が嵩む可能性が高くなるでしょう。

たとえば弊社で実際にご依頼いただいたマンションの事例を紹介いたします。

大阪市東住吉区にてマンション全体の外壁塗装工事

大阪市東住吉区にてマンション全体の外壁塗装工事

価格 414万円 工事期間 48日間
塗料名 関西ペイント コスモシリコン 塗料種別 シリコン
面積 434m2 築年数 34年

工事期間 48日間 面積 434m2
塗料名 関西ペイント コスモシリコン 塗料種別 シリコン
築年数 34年

築34年のマンションではじめての工事のご依頼でした。
きっかけは南西角部屋の雨漏りで、調査を進めると外壁タイル面からの雨漏りが判明いたしました。一部のタイルの張り替えや、外壁の複数のひび割れなどの補修費用だけで約18万円(税抜き)かかりました。

建物の状態によって劣化原因や補修費用は様々ですので、一概に周期を守らないから補修費用が必ず嵩むとは言えません。

しかし定期的な点検を実施して適切な時期にメンテナンスを受けられていれば、補修費用がプラスでかからなかった可能性は高いです。

3-1章でもあったように、周期を先延ばしにすることで今回の例のように雨漏りにも繋がり補修費用も嵩みやすいのです。

4.周期を重視するよりも建物の状態を正しく把握することが重要

大規模修繕は12年~15年周期で実施することが一般的とされています。
ですが周期を厳守するよりも、塗装会社に点検してもらい「いつ頃にどのようなメンテナンスが必要か」診断してもらうことが何よりも重要です。

なぜなら建物を診断してみないと現状の劣化状態が分からないからです。

どれだけ周期を守っていたとしても、適切なメンテナンスが行われなければ建物の状態はどんどん悪い方向へと進みます。

実際に弊社で施工した築45年のマンションの事例を紹介いたします。
周期を守っていたにも関わらず劣化がかなり進行していたケースです。

松原市 下地の鉄筋が見えていた築45年のマンションの外壁塗装

松原市 下地の鉄筋が見えていた築45年のマンションの外壁塗装

価格 270万円 工事期間 20日間
塗料名 関西ペイント コスモシリコン 塗料種別 水性シリコン
面積 609m2 築年数 45年

工事期間 20日間 面積 609m2
塗料名 関西ペイント コスモシリコン 塗料種別 水性シリコン
築年数 45年

築45年のマンションはこれまで修繕工事を2回経験されており、弊社へは3回目の工事依頼です。

15年に一度に修繕工事をされていたのであれば、大きな劣化症状はないように思うかもしれません。

しかし外壁の塗膜が浮いているだけではなく、明らかに下地のコンクリートごと浮いている箇所がいくつもありました。
このままですと地震が起きた時にコンクリートが剥がれおち、落下してくる危険があります

通常の塗装しても長持ちしない可能性が高いのです。
そこで塗装をする前に大掛かりな補修工事を行うことが重要ですとご説明させていただきました。
過去2回の塗装工事で恐らくきちんとした補修工事は行われていなかったようです。
そのため今回の施工45年分の補修をまとめて行ったことになりました。

このように周期を適切に守っていたとしても、正しい診断とメンテナンスがされないことで結果として建物の寿命を縮めてしまうことになるのです。

以上の内容から、より建物の状態を正しく診断するためには塗装会社の選定もかなり重要になるでしょう。

5.マンションの大規模修繕なら南大阪ペイントセンターへご相談ください

南大阪ペイントセンターではマンションの大規模修繕の対応も多数承っています。

マンションの工事は一般の戸建て住宅とは対応がかなり違い、工事の進め方や入居者様への配慮など細密なスケジュール調整が重要です。

戸建て住宅だけではなくマンションの塗装工事にも精通していますので、他のオーナー様からのご紹介も数多くいただいています。

南大阪ペイントセンターだからこそマニュアルにないイレギュラーな問題を対応することができ、お客様の細かな要望にも対応しやすい体制となっています。

どんな些細なことでもご不明な点があればお気軽にご相談いただけますと幸いです。

お問い合わせ tel:0120-306-912 無料見積もりを依頼する LINEで相談する
お問い合わせ
0120-306-912
【受付時間】9:00〜18:00 【定休日】日・祝
無料見積もりを依頼する LINEで相談する