知識の無い業者がスレート(カラーベスト)屋根の塗装をすると、雨漏りを発生させてしまう場合があります。
その原因はタスペーサーを使用せずにスレート屋根の塗装をしたからかもしれません。
こちらのページでは…
・タスペーサーの役割とは?
・スレート屋根の塗装にタスペーサーが必須な理由
・実際にあったタスペーサー不使用による施工不良の事例
以上について、タスペーサーに関するお役立ち情報を掲載していきます。
1.タスペーサーはスレート屋根の塗装時に使用
1-1.タスペーサーは”縁切り作業”に使用
1-2.スレート(カラーベスト)屋根の特徴
2.タスペーサーを使用しないと雨漏りする理由
2-1.スレート屋根とタスペーサーの仕組み
2-2.実際のスレート屋根の雨水の流れ
3.タスペーサー使用の施工事例
4.実際にあったタスペーサー不使用による施工不良の事例
4-1.防水紙と野地板の腐食
4-2.部屋の湿気と雨漏り
5.タスペーサーで注意すべきこと
5-1.タスペーサーが不要なケース
5-2.見積書で判断
6.スレート屋根の塗装はタスペーサーが必須
タスペーサーはスレート屋根の塗装時に使用
✓タスペーサーのプロフィール
サイズ | 約5cm×4cm |
素材 | ポリカーボネイト(踏んでも割れない高い強度) |
色 | ほとんどが黒 |
費用 | 数十円ほど |
使用個数 | 1㎡あたり10個 |
タスペーサーは”縁切り作業”に使用
スレート屋根を塗装する際に、屋根材同士の隙間を確保する作業を”縁切り”といいます。
2種類の縁切り方法
- カッターなどで切り込みを入れる手作業で塗膜を切っていく方法
- タスペーサーによって隙間を確保する方法
スレート(カラーベスト)屋根の特徴
スレート屋根とはセメントに繊維質の素材を配合して薄い板状に加工したもので、陶器の瓦やセメント瓦に比べて軽量で、安価に施工できるため、発売から40年以上たった今でも新築の屋根に使用されています。寿命は大体10~20年程と言われています。
カラーベストやコロニアルとはスレート屋根の商品名です。
屋根の構造用合板の上にルーフィングシートを貼り、サイズが約910㎜×414㎜厚さが約5.2㎜の板を順番に重ねて貼っていきます。
ルーフィングシートを貼った時点で雨漏りは完全に防げますが、シートの保護と美観や防音の為にスレート屋根を貼ります。
スレート屋根の塗装は防水性維持の為
スレート自体には防水性はないので塗装メンテナンスを行って防水性・耐久性をつける必要があります。
タスペーサーを使用しないと雨漏りする理由
スレート屋根とタスペーサーの仕組み
普通の雨では屋根材の下に雨が入り込むことはほぼありませんが、台風のような横殴りの激しい雨の場合は雨水が入り込むことがあります。
「屋根材の間に隙間があるから、そこから雨漏りするのでは?」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、実は違うんです。
スレート屋根同士の隙間の役割
侵入してきた雨水を外に排出したり、湿った空気の出口としての大切な役割があります。
もちろん隙間がなく行き場のなくなった雨水は屋根材の下に留まることしかできず、結果としてそこから雨漏りてしまいます。
仮にに屋根材の隙間があっても、狭すぎる場合は隙間に雨水が吸い込まれるのでやはり雨漏りの原因になってしまうのです。
スレート屋根の屋根材の隙間は数mm
この数mmの隙間は、スレート屋根を守る生命線でもあるのです。
たった数mmの世界ですが、縁切り作業をせずにスレート屋根の塗料を行うと、数mmの隙間が塞がってしまいます。
実際にお客様より「他社で屋根塗装をしてから雨漏りがするようになった」とご相談を受けるケースもあります。
実際のスレート屋根の雨水の流れ
縦の勾配方向には屋根材を半分以上重ねて貼りますが、横方向は重なっていないため矢印の部分からは雨水が入ります。
但し雨水が入っても、重なり部分には隙間があるためそこから水が排出され、中に水が溜まることはありません。
雨水が入っても下にスレート屋根材が重なっており、さらにその下にルーフィングシートもあるため絶対に雨漏りはしない構造になっています。
塗装した時に、写真の赤線部分が塗料で目詰まりしてしまうと水が排出されなくなり、中に水が溜まりやがてルーフィングシートや構造用合板を腐らせ、雨漏りしてしまうようになります。
タスペーサー使用の施工事例
この縦勾配の重なり部分が塗料で目詰まりしてしまわない様にするのがタスペーサーです。
この様に奥まで差し込むと重なり部分の隙間が大きくなり、雨水がきちんと排出されるようになります。
タスペーサーが発売される以前は、塗装後にカッターナイフ等で目詰まりしていた箇所に切り込みを入れて縁切りしていましたが、重みでひっついてしまう場合もあり、縁切りとしては不十分でした。
塗装後、これぐらい隙間が開いていれば大丈夫です。
「隙間があるとそこから水が入るんじゃないの?」と皆さん驚かれます。
ですがスレート屋根に関しては隙間がないと雨漏りしてしまうので、タスペーサーによる縁切り作業は必須なのです。
実際にあったタスペーサー不使用による施工不良の事例
防水紙と野地板の腐食
こちらは2018年の台風21号の被害に遭われたスレート屋根の写真です。
構造用合板が一部無くなっていますが、実は台風で吹き飛んだのではないんです。
屋根塗装の際に縁切りをしていなかったため、中に水が溜まり腐ってしまっていました。台風被害の前から雨漏りがひどかったようです。
部屋の湿気と雨漏り
「別業者さんに屋根塗装をしてもらってから、2階の部屋がジメジメする感じがする。天気が良い日でもなんとなくカビ臭い」とお客様よりご相談をいただきました。
屋根の点検をしてみると、やはり縁切りされずに屋根材の隙間に雨水が溜まっている状態でした。
こちらの屋根も塗装後に雨漏りするようになった事例です。
数日間雨が降っていなかったにも関わらず、切り込みをいれてみると中から大量の水が・・・
縁切り作業後、雨漏りはピタリと止まりました。
ちなみにこの屋根材はアーバニーという塗装には不向きな屋根材でした。
屋根塗装に不向きな屋根材
タスペーサーで注意すべきこと
タスペーサーが不要なケース
- 屋根材がスレート屋根以外
- スレート屋根の損傷が激しい(タスペーサーを入れても屋根材が割れる)
- 屋根材同士に4㎜以上の幅がある場合(タスペーサーを入れても抜け落ちる)
お家の屋根材がスレート以外や、損傷が激しく屋根塗装では対応できないと言われているのに見積書にタスペーサーと書かれている場合は注意しましょう。
そもそもタスペーサーは屋根塗装にしか使用しない器具なのです。
見積書で判断
見積や工程表に”タスペーサー” ”縁切り”といった項目があるかを確認して下さい。
もちろん縁切りしなくても十分な隙間を確保できている場合は縁切り不要といったケースもあります。
いずれにしても「どうしてタスペーサーと書かれてないの?」などの疑問を抱く前に、しっかり説明をしてくれるのが優良業者かどうかの指標とされても良いでしょう。
スレート屋根の塗装はタスペーサーが必須
スレート屋根材には様々な商品があり、形状もたくさんありますが基本的な構造は一緒です。
スレート屋根の塗装の際には必ずタスペーサー(縁切り作業)が必要です。
最近では一般的な知識となりましたが、いまだに縁切り作業を知らないまたは行わない業者さんも存在しています。
これらを理解していない業者さんに塗装工事を依頼すると、雨漏りにつながる場合もありますので注意が必要です。
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